「母が施設に入ることになった。空き家になる実家を売って入居費用に充てたい」——水戸市でも非常に多いご相談です。

このとき最大の分かれ目は、ご本人に判断能力が残っているかどうかです。残っていれば手続きは簡単に進みます。失われていれば、成年後見人の選任と家庭裁判所の許可が必要になり、半年から1年かかります。

この記事では、施設入居のタイミングで何が変わるのか、そして水戸市が用意している費用の助成制度まで、宅地建物取引士が解説します。

目次
  1. ★施設に入る前後が分かれ目です
    1. 判断能力があるうちなら選択肢が多い
    2. 判断能力を失うと止まる
    3. 間に合わないことがある
    4. 診断名だけで決まるものではない
  2. 成年後見が必要になった場合の流れ
    1. ①家庭裁判所へ申立て
    2. ②後見人が選任される
    3. ③居住用不動産の処分許可を申し立てる
    4. ④売買契約は「許可を条件」として結ぶ
  3. ★水戸市には費用の助成制度があります
    1. 成年後見制度利用支援事業
    2. 報酬助成の額(月額の上限)
    3. 手続費用の助成もある
    4. 対象となる方
    5. ★申請期限は3か月
    6. 相談先
  4. 知っておくべきデメリット
    1. 途中でやめられない
    2. 専門職なら報酬が続く
    3. 財産を自由に使えない
    4. 家庭裁判所への報告義務
  5. 元気なうちにできること
    1. 任意後見契約
    2. 家族信託
    3. 先に売っておく
    4. 売却時の税金も早めに確認しておく
  6. 水戸市でのご相談の実情
    1. 施設入居と同時に相談が来る
    2. 子が県外に住んでいる
    3. 相続人側が認知症の場合もある
    4. 農地が絡むと手続きが増える
  7. よくある質問
    1. Q. 母は要介護4ですが、会話はできます。売れますか?
    2. Q. 息子が後見人になれますか?
    3. Q. 許可が下りないことはありますか?
    4. Q. 施設の費用が払えず急いでいます
    5. Q. 空き家のまま置いておけばよいのでは?
    6. Q. 不動産会社は何をしてくれますか?
  8. まとめ
  9. 水戸市の実家の売却はハウスドゥ 県庁水戸へ
  10. あわせて読みたい

★施設に入る前後が分かれ目です

施設入居のタイミングと売却手続きの違い|ハウスドゥ 県庁水戸
施設入居のタイミングで判断が分かれる

判断能力があるうちなら選択肢が多い

ご本人が契約内容を理解できる状態なら、そのまま売却手続きに進めます。家庭裁判所の許可は不要です。

加えて、将来に備えて任意後見契約を結んでおく、家族信託で管理を託しておく、といった手も打てます。

判断能力を失うと止まる

民法では、意思能力を有しない状態でした法律行為は無効とされています。売買契約も同じです。

この場合、成年後見人を選任し、さらに居住用不動産なら家庭裁判所の許可を得る必要があります。後見人になっただけでは自宅を売れません。

間に合わないことがある

ここが最も切実な問題です。「入居費用が足りないから家を売ろう」と動き出したときには、すでに手続きが必要な状態になっていることがあります。

後見開始の申立てから許可まで、全体で半年から1年。その間も施設費用は毎月かかります。

診断名だけで決まるものではない

誤解が多い点ですが、認知症と診断されていても、程度によっては本人が売却できます。判断能力の有無は医師が判断します。要介護度とも別物です。

まず主治医にご相談ください。「もう無理だろう」と決めつける前に確認する価値があります。

成年後見が必要になった場合の流れ

①家庭裁判所へ申立て

申立てができるのは本人、配偶者、四親等内の親族などです。身寄りがない場合は市長が申し立てることもできます(市長申立て)。

②後見人が選任される

誰が後見人になるかは家庭裁判所が決めます。候補者を挙げることはできますが、希望どおり親族が選ばれるとは限りません。財産が多い、親族間で意見が分かれているといった場合、司法書士や弁護士などの専門職が選任されます。

③居住用不動産の処分許可を申し立てる

ここが見落とされがちです。後見人が本人に代わって居住用の建物や敷地を売却するには、家庭裁判所の許可が必要です。売却だけでなく、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定にも許可が要ります。

裁判所は処分の必要性、現在の生活状況、将来の居住環境の見通しを審査します。売却代金の使途を明確に示せることが重要です。

④売買契約は「許可を条件」として結ぶ

実務では、「家庭裁判所の許可が得られること」を条件に売買契約を締結し、許可が出てから決済します。買主にはこの事情を説明し、待っていただきます。

この段取りに慣れている不動産会社でないと、話が前に進みません。

★水戸市には費用の助成制度があります

これは他の記事にあまり書かれていない、水戸市固有の情報です。

成年後見制度利用支援事業

水戸市では、費用の負担が困難と認められる方を対象に、申立て手続費用と後見人等への報酬の助成を行っています。

水戸市の成年後見制度利用支援事業の報酬助成|ハウスドゥ 県庁水戸
水戸市の成年後見制度利用支援事業

報酬助成の額(月額の上限)

  • 被後見人等が在宅の場合……月額28,000円
  • 施設等に入所、または3か月を超えて入院している場合……月額18,000円
  • 後見監督人等が選任されている場合……月額10,000円

実際には、この額または家庭裁判所が定めた額のいずれか低い額が助成されます。

手続費用の助成もある

申立手数料、登記手数料、郵送料、診断書作成料、鑑定費用を合算した額の範囲で、市長が適当と認める額が助成されます。鑑定費用は高額になることがあるため、対象になるかは大きな違いです。

対象となる方

生活保護受給世帯、中国残留邦人等支援給付受給者、これらに準ずる状態にあると市長が認める者が対象です。

★申請期限は3か月

ここに注意してください。申請期間は後見等開始または報酬付与の審判確定日から起算して3か月以内です。期限を過ぎると助成を受けられません。

相談先

制度について詳しく知りたい方、利用を相談したい方は権利擁護サポートセンター(水戸市社会福祉協議会内)が窓口です。市の担当は高齢福祉課地域支援センター 権利擁護係(水戸市役所1階・Tel 029-232-9110)です。

出典:水戸市「成年後見制度」(2026年3月2日更新)。金額・要件は変更される場合があります。詳細は必ず市へご確認ください。

知っておくべきデメリット

成年後見はご本人を守る制度ですが、使い始めると簡単には終わりません。

途中でやめられない

「家を売るためだけに使って、売れたら終わり」にはできません。後見は原則として本人が亡くなるまで続きます。

専門職なら報酬が続く

司法書士や弁護士が後見人になった場合、本人の財産から報酬が継続的に支払われます。金額は家庭裁判所が決定します。前述の助成が使える場合もありますが、要件があります。

財産を自由に使えない

後見人は本人の利益のためにしか財産を使えません。「孫の学費に」「家族の生活費に」といった支出は認められません。

家庭裁判所への報告義務

後見人は定期的に財産状況を報告します。親族が後見人になった場合、この事務が続きます。

元気なうちにできること

任意後見契約

判断能力があるうちに「その時が来たらこの人に任せる」と決めておく契約です。公正証書で結びます。誰に任せるかを自分で選べる点が法定後見との大きな違いです。

家族信託

財産の管理・処分権限をあらかじめ家族に託しておく仕組みです。信託契約の設計によっては、家庭裁判所の許可なしに売却できる形も可能です。契約設計に専門知識が必要で、初期費用もかかります。

先に売っておく

使う予定のない実家であれば、判断能力があるうちに売却しておくのが最も単純です。「まだ元気だから」と先延ばしにして、売れない状態になってから慌てる——これが実務で最も多いパターンです。

売却時の税金も早めに確認しておく

実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、所有期間に応じた税金がかかります。ただし、親が住まなくなった空き家を売る場合でも、一定の要件を満たせば「空き家の3,000万円特別控除」が使える可能性があります。施設入居から売却までの期間や、相続が発生した場合の対応など要件が細かいため、税金の負担を最小限にするためにも、売却を検討し始めた段階で税務署や不動産会社に確認しておくことをおすすめします。

水戸市でのご相談の実情

施設入居と同時に相談が来る

水戸市内・近隣の施設に入居されたタイミングでご相談をいただきます。この時点で判断能力が残っていれば、選択肢は広くあります。

子が県外に住んでいる

お子様が東京や県外にお住まいで、実家だけが水戸に残るケースです。遠方からの手続きは時間がかかるため、早めの着手が特に重要になります。

相続人側が認知症の場合もある

見落とされがちですが、親ではなく相続人の1人が認知症ということもあります。遺産分割協議には相続人全員の意思能力が必要なため、この場合も成年後見人の選任が必要です。

農地が絡むと手続きが増える

水戸市周辺では、宅地と農地を併せて所有されている方が多くいます。農地は農業委員会の許可も必要になるため、さらに時間がかかります。くわしくは農地を生前に渡すには?許可と納税猶予の落とし穴をご覧ください。

よくある質問

Q. 母は要介護4ですが、会話はできます。売れますか?

要介護度と判断能力は別です。契約内容を理解できる状態なら、ご本人が売主になれます。主治医にご確認ください。

Q. 息子が後見人になれますか?

候補者として申し出ることはできますが、決めるのは家庭裁判所です。財産の額や親族間の状況により、専門職が選ばれることがあります。

Q. 許可が下りないことはありますか?

あります。売る必要性が説明できない場合や、本人の生活への影響が大きいと判断された場合です。だからこそ売却代金の使途を明確にすることが重要です。

Q. 施設の費用が払えず急いでいます

後見の手続きには時間がかかります。まず施設のソーシャルワーカーや水戸市の窓口にご相談ください。並行して不動産の査定を進めておけば、許可が出た後の動きが早くなります。

Q. 空き家のまま置いておけばよいのでは?

維持費と固定資産税がかかり続けます。管理が行き届かないと管理不全空家等として指導を受け、住宅用地の特例が外れて固定資産税が最大6倍になり得ます。

Q. 不動産会社は何をしてくれますか?

当社は司法書士のご紹介、家庭裁判所へ提出する資料としての査定書の作成、許可を条件とした契約の組み立てを行います。後見の申立てそのものは専門家の業務です。

まとめ

  • 施設に入る前後が分かれ目。判断能力があるうちなら本人が売却でき、選択肢も多い
  • 判断能力を失うと成年後見人の選任が必要。後見人は家庭裁判所が決める
  • ★居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が別に必要。後見人になっただけでは売れない
  • 全体で半年〜1年。施設費用の支払いに間に合わないことがある
  • 診断名があっても程度により本人が売却できる。要介護度とは別物
  • ★水戸市には成年後見制度利用支援事業がある。報酬助成は在宅28,000円・施設等18,000円・監督人あり10,000円(月額上限)
  • 申請期限は審判確定日から3か月以内
  • 相談窓口は権利擁護サポートセンター(水戸市社会福祉協議会内)
  • 元気なうちなら任意後見・家族信託・先に売却という手がある

水戸市の実家の売却はハウスドゥ 県庁水戸へ

「親が施設に入ることになった」——その段階でご相談ください。判断能力の状況をうかがい、本人が売れるのか、後見が必要なのかを整理します。必要に応じて司法書士をご紹介します。

家庭裁判所へ提出する査定書の作成許可を条件とした売買契約の組み立てまで対応します。時間のかかる手続きですので、入居を検討し始めた時点でのご相談をおすすめします。

査定・ご相談は無料です。ご家族だけでのご相談、売却を決めていない段階でも構いません。

お電話:0120-565-072(通話無料)
フォーム:無料相談・査定のお申し込みはこちら

あわせて読みたい

※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な解説です。当社は成年後見の申立て代理や法律相談を行うことはできません。制度の詳細と助成の適用可否は水戸市高齢福祉課地域支援センター(029-232-9110)、手続きは家庭裁判所・司法書士・弁護士へご確認ください。判断能力の有無は医師の判断によります。

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