不動産の査定額は、担当者の勘や希望で決めてよい数字ではありません。査定額の根拠を明らかにすることは、不動産会社にとって法律上の義務です(宅地建物取引業法 第34条の2 第2項)。
ところが実際には、「相場から見て、だいたいこのくらい」としか説明されないまま話が進むことが少なくありません。この記事では、提示された査定額に根拠があるかどうかを、売主のあなたが自分で確かめる方法をお伝えします。
茨城県の県央・県北・鹿行エリアでは、東京や県外にお住まいの相続人の方が、実家の査定を依頼されるケースが多くあります。現地に行けない方こそ、根拠の確かめ方を知っておいてください。
※机上査定そのもの(訪問査定との違い、机上査定で分からないこと、向いている場面)を詳しく知りたい方は、グループ店の解説をご覧ください。▶机上査定とは?訪問査定との差と使いどころ【2026】
前提:査定には机上査定と訪問査定の2種類があります

査定には大きく2種類あります。どちらも無料です。違いは「現地を見るかどうか」です。
机上査定(簡易査定)とは
所在地・築年数・面積・間取り・階数といった物件データと、周辺の成約事例・売出事例、公的価格(地価公示など)をもとに概算価格を算出します。現地には行きません。結果は数時間〜2営業日程度で出ます。
訪問査定とは
担当者が実際に現地を訪れ、建物の傾き・雨漏り・水回りの状態・日当たり・騒音・境界や越境の有無・接道状況などを確認したうえで価格を出します。現地確認は30分〜1時間程度、査定書の提出まで数日かかるのが一般的です。
査定額は、どちらの方法が高く出ますか
一概には言えませんが、机上査定のほうが高く出ることがあります。現地を見ていないため、実際に減額の要因となる不具合(傾き、雨漏り、越境、擁壁の劣化など)が金額に反映されていないからです。
つまり「机上査定の金額が高い=高く売れる」ではありません。訪問査定を受けた途端に金額が下がった、というご相談は珍しくありません。金額を比べるときは、必ず同じ条件(同じ査定方法)で比べてください。
査定額の精度はどのくらいですか
物件の個性が少ないほど精度は上がります。同じマンションで同じ間取りの取引事例が複数ある区分マンションは、机上査定でも比較的近い数字が出ます。逆に、戸建てや土地は精度が落ちます。同じ町内でも間口・道路付け・高低差・古家の状態で価格が変わるためです。茨城県は戸建てと土地の流通が中心ですので、この点は特に注意が必要です。
★最も大切なこと|査定額の「根拠」を示すのは、不動産会社の法律上の義務です
ここが、多くの解説記事が触れていない点です。
宅地建物取引業法 第34条の2 第2項は、不動産会社が媒介契約を結ぶにあたって価額について意見を述べるときは、「その根拠を明らかにしなければならない」と定めています。これは努力目標ではなく、宅地建物取引業者に課された義務です。
国土交通省の告示に基づく「価格査定マニュアル」(公益財団法人不動産流通推進センター)という標準的な手法も存在します。つまり査定額は、担当者の勘や希望で決めてよい数字ではありません。
ですから、机上査定であっても「なぜその金額になるのか」を尋ねるのは、まったく遠慮のいらない、当然の質問です。根拠を説明できない、あるいは説明を渋る会社であれば、その時点で候補から外して差し支えありません。
査定額の根拠を確かめる3つの質問

質問1:どの取引事例を使いましたか
査定の土台は類似物件の取引事例です。所在地・築年数・面積・成約時期がどれだけ近い事例を使ったかで、金額の信頼性が決まります。
水戸市を例にすると、水戸駅周辺・赤塚・内原・見和・双葉台・河和田では価格帯が異なります。「水戸市の平均」ではなく「その町丁の事例」が出てくるかを確認してください。同じ学区の事例まで出てくれば、地域の事例を持っている会社だと判断できます。
質問2:いくら加算し、いくら減算しましたか
事例の価格をそのまま当てはめることはありません。築年数、駅からの距離、道路付け、間口、日当たり、傾きや雨漏りの有無、越境、再建築ができるかどうかなどで増減します。
この増減の項目と金額を説明できるかどうかが、根拠のある査定かどうかの分かれ目です。「相場から見て、だいたいこのくらい」としか言えない場合、それは根拠を示したことになりません。
質問3:手取りはいくらになりますか
査定額は「売れるかもしれない価格」であって、手元に残る金額ではありません。ここから仲介手数料・登記費用・印紙税・測量費・解体費・場合によっては譲渡所得税が引かれます。
仲介手数料の上限は、売買価格が400万円を超える場合「売買価格×3%+6万円+消費税」です。たとえば1,500万円なら、1,500万円×3%+6万円=51万円、消費税込みで56万1,000円が上限になります。
査定額ではなく手取り額で比べると、高値査定に惑わされにくくなります。複数社を比較するときは、必ず全社に手取りの試算を求めてください。
「高値査定」を見抜くために
残念ながら、媒介契約を取ることを目的に、相場より高い金額を提示する会社が存在します。机上査定は現地を見ていないぶん、高い数字を出しやすいという構造があります。
次のような場合は、いったん立ち止まってください。
- 他社より明らかに高いのに、その理由を具体的に説明できない
- 使った取引事例を見せてもらえない
- 「今すぐ契約すれば」と契約を急がせる
- 売り出したあとに短期間で値下げを求められる前提の話が出る
- 手取りの試算を出してもらえない
高い査定額で売り出しても、買主が現れなければ売れません。売れ残った物件は「なぜ長いこと売れていないのか」と見られ、結果的に当初の相場より安くなることがあります。最初の価格設定は、それだけ重要です。
遠方にお住まいの相続人の方が査定を受けるとき
県央・県北・鹿行エリアでは、茨城県内の実家を相続したものの、ご自身は県外にお住まいという方から多くご相談をいただきます。現地に行く回数を減らしたい、まず金額の目安だけ知りたい、という段階で机上査定は有効です。
ただし、遠方の方ほど次の点にご注意ください。
現地の状態が金額に反映されていない
長く空き家になっている建物は、ご本人が記憶しているより傷んでいることがほとんどです。雨漏り、シロアリ、庭木の越境、隣地との境界のずれ。これらは机上査定には入りません。売却の方向が固まった段階で、必ず現地を見た査定に切り替えてください。
相続登記が済んでいないと売れません
2024年4月1日から相続登記が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をする必要があり、正当な理由なく怠ると過料の対象になります。登記が未了のままでは売買の決済ができません。査定と並行して手続きを進めておくと、あとで慌てずに済みます。
税金の特例には期限があります
相続した空き家を売る場合、要件を満たせば被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除が使える可能性があります。ただし相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡である必要があり、市区町村が発行する確認書も要ります。
また、相続税を納めた方は取得費加算の特例(相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡)が使える場合があります。いずれも期限があるため、査定は早い段階で受けておくほうが選択肢が広がります。適用の可否は税理士または税務署にご確認ください。
査定を依頼するときに用意する書類
机上査定は費用はかかりません(無料)。厳密には所在地と面積が分かれば依頼できますが、次の書類があると精度が上がります。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)……所有者・地番・面積・抵当権の有無
- 公図・地積測量図・建物図面……土地の形と接道の状況
- 固定資産税の納税通知書……手元にあることが多く、地番と面積が分かります
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書……取得費が分かると税金の試算までできます
- マンションの場合は管理費・修繕積立金が分かるもの
すべて揃っていなくても構いません。固定資産税の納税通知書だけでも、多くの場合は概算が出せます。
なお、売却したあとでは取得できなくなる書類もあります。片づけや解体を進める前にご相談いただくほうが、結果的に手続きがスムーズです。
査定を依頼してから結果が出るまで
- 依頼……電話・メール・フォームで、物件の所在地と分かる範囲の情報を伝えます
- 調査……取引事例、売出事例、公的価格、法令上の制限を確認します
- 算出……事例をもとに加算・減算を行い、価格の幅を出します
- ご報告……金額と、その根拠をあわせてご説明します(数時間〜2営業日程度)
この段階では売却を決める必要はありません。「思ったより高い/安い」で方針を考え直していただいて構いません。
一括査定サイトを使うべきかどうか
一括査定サイトは、1回の入力で複数社に情報が配信される仕組みです。手軽に見えますが、入力した個人情報が複数社に渡り、営業の連絡がしばらく続きます。
まだ売ると決めていない段階や、ご家族に相談してから決めたい段階では、この連絡が負担になります。金額の目安だけ知りたいのであれば、信頼できる1社に直接依頼するほうが静かに進められます。
また、サイト名が違っても運営会社が同じであれば、相見積もりにはなりません。比較するときは、各社の免許番号で運営会社を確認してください。
買取をご検討の場合の査定
不動産会社が自社で直接買い取る買取の場合も、机上での概算はお出しできます。買取では仲介手数料がかかりません。また、内覧の対応が不要で、引渡しの時期を相談しやすいという特徴があります。
一方で、買取価格は仲介で売れる想定価格より低くなるのが一般的です。会社がリフォームや再販の費用とリスクを負うためです。
ですから、「買取価格」と「仲介で売った場合の想定手取り」の両方を並べて比べてください。どちらが得かは物件ごとに変わります。当店では両方の数字をお出しします。
なお、不動産会社が売主から直接買い取る取引に、クーリング・オフの制度は適用されません。宅地建物取引業法37条の2は「宅建業者が売主、個人が買主」の場合の買主保護の規定であり、あなたが売主のときには働きません。買取の契約は、締結前によくご確認ください。
相場はご自身でも確かめられます
査定を受ける前後に、どなたでも無料で使える公的な情報源で相場感をつかんでおくと、根拠の説明が正しいかを判断しやすくなります。
- 不動産情報ライブラリ(国土交通省)……実際の取引価格や地価を地図上で確認できます
- 地価公示・都道府県地価調査……その地点の1㎡あたりの価格の目安が分かります
- レインズ・マーケット・インフォメーション……成約した物件の情報を種別・エリア別に確認できます
※これらは目安です。実際の売却価格は物件個別の条件で変わります。
ハウスドゥ 県庁水戸について
この記事を書いているのは、ハウスドゥ 家・不動産買取専門店 県庁水戸です。ハウスドゥは全国に展開する不動産売買のフランチャイズで、元プロ野球選手の古田敦也さんをイメージキャラクターに起用しています。
私たちは茨城県内で4店舗を運営しています。県央・県北・鹿行エリアは当店が担当しています。比較される側でもありますので、当店の情報も同じ基準で開示します。
- 運営会社:株式会社トーマン
- 免許番号:茨城県知事(1)第7579号
- お問い合わせ:0120-565-072
- 査定:机上査定・訪問査定ともに無料。買取(自社で直接購入)と仲介の両方に対応
- 査定額は根拠とあわせてご説明します
免許番号は国土交通省の「宅地建物取引業者検索」で誰でも確認できます。行政処分の履歴も公表されています。当店に限らず、依頼を検討している会社は必ずこの方法で確認してください。
よくある質問
査定額の根拠は聞いても失礼になりませんか?
失礼にはあたりません。宅地建物取引業法第34条の2第2項は、不動産会社が価額について意見を述べるときはその根拠を明らかにしなければならないと定めており、これは会社側の義務です。むしろ根拠を尋ねられることを想定していない会社のほうが問題です。遠慮なくお尋ねください。
査定額が会社によって大きく違うのはなぜですか?
使った取引事例が違う、加算・減算の見方が違う、査定方法(机上か訪問か)が違う、という3つが主な理由です。加えて、媒介契約を取ることを目的に高めの金額を提示する会社も残念ながら存在します。どの事例を使い、何をいくら増減したのかを各社に尋ねると、差の理由が見えてきます。
机上査定と訪問査定ではどちらが高いですか?
机上査定のほうが高く出ることがあります。現地を見ていないため、傾き・雨漏り・越境といった減額要因が反映されていないからです。机上査定の金額が高いことは、高く売れることを意味しません。比較するときは同じ査定方法どうしで比べてください。
机上査定を依頼するといくらかかりますか?
無料です。机上査定も訪問査定も費用はかかりません。査定を受けたからといって、その会社に売却を依頼する義務もありません。
机上査定に必要な書類は何ですか?
厳密には所在地と面積が分かれば依頼できます。精度を上げるには、登記事項証明書、公図・地積測量図・建物図面、固定資産税の納税通知書、購入時の売買契約書があると助かります。すべて揃っていなくても構いません。固定資産税の納税通知書だけでも概算は出せます。
机上査定の結果が出るまで何日くらいかかりますか?
一般的には数時間から2営業日程度です。物件の資料が揃っている場合や、取引事例が豊富なマンションの場合は早く出ます。土地や戸建てで調査に時間がかかる場合は、もう少しお時間をいただくことがあります。
査定額の根拠は聞いてもよいのですか?
はい、遠慮なくお尋ねください。宅地建物取引業法第34条の2第2項は、不動産会社が価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています。これは法律上の義務です。根拠を説明できない会社は候補から外して差し支えありません。
遠方に住んでいますが、実家の査定を頼めますか?
はい、机上査定であれば現地に来ていただく必要はありません。県外にお住まいで茨城県内の実家を相続された方から多くご相談をいただいています。ただし空き家は記憶より傷んでいることが多いため、売却の方向が固まった段階で現地を見た査定に切り替えることをおすすめします。
査定額どおりに売れますか?
査定額は「この価格なら売れるであろう」という見込みであり、その価格での売却を保証するものではありません。売り出してから買主が現れるまでの期間や、値引き交渉によって最終的な成約価格は変わります。だからこそ、査定額そのものよりも、その根拠と手取りの試算で比べることが大切です。
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