日立市で空き家をお持ちの方から、「解体したいが費用が重い」「補助金は使えるのか」というご相談を数多くいただきます。結論からお伝えすると、日立市には空き家の解体に使える補助金が2種類あり、いずれも補助対象経費の3分の1(利活用型は上限50万円、宅地再生創出型は上限30万円)が交付されます。令和8年度分の申請受付はすでに始まっています。
ただし、この制度には見落とされがちな重要な条件があります。上限50万円の「利活用型」は、解体後1年以内に土地を売却または賃貸する契約を結ぶことが交付条件なのです。つまり日立市の空き家解体補助金は、「解体してから考える」制度ではなく、解体と売却をセットで計画して初めて満額が活きる制度です。本記事では市の公表資料にもとづいて要件を正確に整理し、そのうえで売却まで含めた最も損の少ない進め方をご説明します。
- 【結論】日立市の空き家解体補助金は2種類|まず違いを押さえる
- 日立市の空き家解体補助金|対象になる空き家の7要件
- 誰が申請できるか|補助対象者の範囲
- 対象になる工事・ならない費用
- 【重要】利活用型の交付条件|「解体後1年以内の売却等」がカギ
- 申請の流れと必要書類|「工事契約前の相談」が必須
- 解体費用の目安と、補助金を引いた実質負担
- 解体すると固定資産税が上がる|住宅用地特例の落とし穴
- 「解体してから売る」以外の選択肢|そのまま売れることもあります
- 売却時の税金|相続した空き家なら3,000万円控除が使える可能性
- 日立市の地域事情|エリアで変わる出口戦略
- ハウスドゥ 県庁水戸店にご相談いただく場合
- よくある質問(FAQ)
【結論】日立市の空き家解体補助金は2種類|まず違いを押さえる
日立市が令和8年度に実施している空き家解体関連の補助金は、次の2つです(いずれも市公式サイト・令和8年4月14日更新時点)。
① 空き家解体補助金(利活用型)|上限50万円
老朽化した空き家や危険な空き家の除却を促進し、跡地の利活用を図ることを目的とした制度です。補助額は補助対象経費の3分の1、上限50万円。金額が大きいぶん、跡地を活用する約束が交付条件になります。
② 空き家解体補助金(宅地再生創出型)|上限30万円
同じく除却を促進しつつ、宅地の再生および創出を図る制度です。補助額は補助対象経費の3分の1、上限30万円。跡地の売却・賃貸を交付条件としない代わりに、上限額が20万円低く設定されています。
どちらを選ぶべきか
跡地を売る・貸す予定がすでにある、あるいはその可能性が高いなら利活用型(上限50万円)が有利です。跡地を自分で使い続ける、当面は動かさないという方は宅地再生創出型(上限30万円)が現実的な選択になります。なお補助金の交付は補助対象者1人につき1回限りですので、複数の空き家をお持ちの方はどの物件に使うかを慎重に決めてください。

日立市の空き家解体補助金|対象になる空き家の7要件
2つの制度に共通する、補助対象となる空き家の要件は次のとおりです。すべてに該当する必要があります。
1. 戸建住宅または併用住宅であること(アパート等の共同住宅、長屋は対象外)
2. 解体時点で1年以上居住されていないこと、または所有者等が死亡した後に居住されていないこと
3. 昭和56年5月31日以前に建築確認を受けて建築されたものであること(いわゆる旧耐震基準の建物)
4. 延べ床面積が50平方メートル以上であること(併用住宅は居住部分が延べ床面積の2分の1以上かつ50平方メートル以上)
5. 空家等対策の推進に関する特別措置法の「特定空家等」に指定されていないこと
6. 公共事業の補償の対象となっていないこと
7. 宅建業者が営利目的で所有するものでないこと
実務上つまずきやすいのは3の築年要件です。昭和56年6月以降に建築確認を受けた建物は対象外となります。ご自宅の建築確認の時期がわからない場合は、登記事項証明書の新築年月日や建築確認済証で確認してください。もう一つは5の「特定空家等でないこと」です。危険だからこそ解体したいのに、市から特定空家等に指定されてしまうとこの補助金は使えません。指定される前に動くことが金銭的に有利だという点は、ぜひ覚えておいてください。
誰が申請できるか|補助対象者の範囲
申請できるのは次のいずれかに該当する方です。
・空き家の所有者(共有名義の場合は、すべての共有者から解体の同意を得た方に限る)
・所有者の相続人(相続人が複数の場合は、すべての相続人から解体の同意を得た方に限る)
・不在者財産管理人、成年後見人等、公的機関が発行した書類により処分権限を有すると認められる方
・(利活用型のみ)敷地を取得または賃借した方(所有者から解体の同意を得た方に限る)
ここで実際に多いつまずきが共有名義と相続です。「兄弟3人で相続したが、1人と連絡が取れない」「登記が祖父の名義のまま」というケースでは、全員の同意が取れず申請できません。相続登記は2024年4月から義務化されており、放置するほど相続人が増えて同意集めが困難になります。解体を検討し始めた段階で、まず権利関係を整理してください。
また、市税・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料に滞納がある場合は対象になりません。この点も申請前にご確認ください。
対象になる工事・ならない費用
補助対象となる解体工事の要件
・空き家および門塀等の工作物、敷地内の樹木等を除却し、原則として更地にする工事
・市内に本店または営業所を有する法人・個人事業者が行う解体工事(市外業者のみでの施工は対象外)
・解体工事費が50万円以上であること
・建設業法の許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業)または解体工事業の登録を受けた業者に請け負わせる工事
・令和6年4月1日以降に請負契約を締結している解体工事
とくに注意すべきは「市内事業者」要件です。相見積もりで市外の安い業者を選んでしまうと、工事費は下がっても補助金50万円を失い、結果的に高くつくことがあります。見積もり比較は「補助金を差し引いた自己負担額」で行ってください。
補助対象となる経費
工事費のほか、解体で生じた廃材等の収集運搬費・処分費、解体後の土地の整地費用が対象です(砕石敷均し等の舗装費用は除く)。周囲の安全確保のために必要と市長が認めた工事等の経費も含まれます。
対象にならない費用
空き家およびその敷地内の動産(残置物・家財)の処分費は補助対象外です。長年放置された空き家は家財がそのまま残っていることが多く、この片付け費用が数十万円規模になることも珍しくありません。ここは補助金でカバーされないため、事前に見積もりを分けて確認しておきましょう。
【重要】利活用型の交付条件|「解体後1年以内の売却等」がカギ
上限50万円の利活用型では、次のいずれかに該当することが交付条件です。
① 空き家を解体した日から1年以内に、跡地の売却等または賃貸(使用貸借を含む)契約を締結した方
② 敷地の取得・賃借契約を締結した日から1年以内に、当該空き家を解体した方
③ 解体した日から1年以内に、跡地を公共的利用(ポケットパーク、公共空地、共同農園等)に供した方
実質的に多くの方が使うのは①です。つまり「解体してから1年以内に土地の買い手または借り手を見つけて契約する」ことが50万円を受け取る前提になります。
ここが最大の落とし穴です。日立市の土地は、場所によっては買い手探しに半年から1年近くかかることがあります。解体してから売り先を探し始めると、1年の期限に間に合わず補助金を取り逃すおそれがあるのです。
また賃貸借(使用貸借を含む)の相手方が配偶者または一親等の親族である場合は、補助対象者になりません。「息子に貸したことにする」といった形式的な対応は認められません。
したがって、利活用型を狙うなら解体の前に売却の見通しを立てておくのが正しい順番です。買主が決まっている、あるいは買取業者が確実に買い取る見込みが立っている状態で解体すれば、1年の期限は問題になりません。
申請の流れと必要書類|「工事契約前の相談」が必須
市は次の点を明確に案内しています。令和8年度の予算には限りがあるため、申請予定の方はあらかじめ市に相談すること。また、申請時には工事着手前の空き家の状況を確認する書類が必要となるため、工事契約を締結する前に必要書類を準備すること。
この順番を間違えると、要件を満たしていても補助を受けられません。正しい進め方は次のとおりです。
ステップ1|住政策推進課へ事前相談(市役所本庁舎5階 山側。支所では相談・申請ができません)
ステップ2|解体前の写真を撮影・保管(着手後では取り返しがつきません)
ステップ3|市内の許可・登録業者から見積もりを取得
ステップ4|請負契約を締結
ステップ5|解体工事・完了写真の撮影
ステップ6|(利活用型)跡地の売買・賃貸借契約を締結
ステップ7|交付申請書と必要書類一式を提出

申請時に必要な書類
交付申請書(様式第1号)、解体前の写真、解体工事の請負契約書の写し、見積書または請求書の写し(内訳明細が記されたもの)、領収書等の写し、完了写真。利活用型はこれに加えて不動産の売買契約書または賃貸借契約書等の写しが必要です。
詳細および最新の要綱・様式は、日立市公式サイトの「空き家に関する補助金」のページでご確認ください。制度は年度ごとに見直されるため、本記事の内容も必ず市の一次情報と照合いただくようお願いします。お問い合わせ先は日立市 都市建設部 住政策推進課(代表電話 0294-22-3111)です。
解体費用の目安と、補助金を引いた実質負担
解体費用は建物の構造・延べ床面積・立地条件で大きく変わります。一般に木造より鉄骨造、鉄骨造より鉄筋コンクリート造の順に高くなり、前面道路が狭く重機が入りにくい現場では割高になります。日立市は海岸段丘に沿って市街地が広がり、山側の住宅地には傾斜地や狭あい道路の物件が少なくありません。こうした立地では手壊し工事や小型重機での作業が必要となり、費用が上振れしやすい点にご注意ください。
また、昭和56年5月31日以前の建物という補助要件の性質上、対象となる建物には石綿(アスベスト)含有建材が使われている可能性があります。石綿含有建材が確認された場合は法令に基づく事前調査・届出・専用の除去工事が必要となり、費用が加算されます。見積書に石綿調査費が計上されているかは必ず確認してください。
正確な金額は現地を見なければ出せません。複数社から見積もりを取り、「工事費+残置物処分費+石綿対応費」の総額から補助金(上限50万円または30万円)を差し引いた実質負担で比較するのが、最も損の少ない判断方法です。
解体すると固定資産税が上がる|住宅用地特例の落とし穴
見落とされがちですが、建物を解体して更地にすると、土地の固定資産税が上がります。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)は課税標準額が6分の1に軽減されています。建物を取り壊すとこの特例が外れ、税額が大きく増えるのです。
「解体すると固定資産税が6倍になる」と言われるのはこの仕組みによるものです。ただし実際には土地と建物それぞれの評価額や負担調整の影響を受けるため、単純に6倍になるわけではありません。いずれにせよ増額は避けられないとお考えください。
だからこそ、解体したまま長期間更地で寝かせるのは経済的に不利です。利活用型の「1年以内に売却等」という条件は、税負担の面から見ても理にかなっています。解体するなら、出口(売却・活用)を決めてから着手してください。
なお、放置を続けるほうがもっと危険であることも申し添えます。空家等対策特別措置法により、管理不全空家等・特定空家等に指定されて勧告を受けると、住宅用地特例そのものが解除され、解体していなくても税負担が増えます。加えて倒壊や外壁の飛散で第三者に損害を与えれば、所有者が損害賠償責任を負う可能性があります。
「解体してから売る」以外の選択肢|そのまま売れることもあります
補助金の話をした上で申し上げますが、すべての空き家が「解体してから売るべき」わけではありません。むしろ解体費用を自己負担する前に、次の3つを検討する価値があります。
選択肢1|古家付き土地として売る
建物を残したまま「古家付き土地」として売却する方法です。買主が自分の希望する条件で解体・建築できるため、更地にするより買主層が広がる場合があります。解体費を負担せずに済む点も大きな利点です。
選択肢2|現況有姿のまま買取に出す
残置物が残っていても、傷みが激しくても、当社が直接買主となって現況のまま買い取る方法です。片付けも解体も不要で、契約不適合責任も原則免責となります。「補助金の要件を満たさない」「相続人の同意集めに時間がかかる」「1年以内の売却に自信がない」という方には、こちらのほうが現実的で早い解決になることが少なくありません。
選択肢3|リフォームして貸す・空き家バンクに出す
日立市には空き家利活用リフォーム補助金など、活用側を支援する制度もあります。立地が良く建物の状態が保たれているなら、貸して収益化する道も検討できます。
どれが有利かは物件ごとに逆転します。「解体費150万円をかけて更地で売る」より「現況のまま買取に出す」ほうが手取りが多くなるケースは実際にあります。判断のためには、まず更地にした場合の想定売却価格と、現況のままの買取価格の両方を数字で見比べることです。
売却時の税金|相続した空き家なら3,000万円控除が使える可能性
日立市の案内でも触れられていますが、空き家やその跡地を売却した際の譲渡所得について、特別控除を受けられる場合があります。
譲渡所得は売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)で計算し、所有期間5年超の長期譲渡所得なら税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)、5年以下の短期なら39.63%です。
相続した空き家については、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」により最大3,000万円を控除できる場合があります。耐震基準を満たすか、または家屋を取り壊して売却することなどが要件で、解体して更地で売る場合はこの特例と相性が良いという側面があります。また低未利用土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の特別控除もあり、これらの適用には市が発行する確認書が必要になる場合があります。相続税を納めた方は取得費加算の特例も検討できます。
ただしいずれも要件が細かく、適用の可否は個別事情で変わります。必ず税理士または所轄の税務署にご確認ください。当店でも税理士と連携してご相談をお受けしています。
日立市の地域事情|エリアで変わる出口戦略
日立市は南北に長く、JR常磐線の各駅を中心に市街地が形成されています。日立駅・多賀駅・大甕駅の周辺は生活利便性が高く、更地にすれば住宅用地としての需要が見込みやすいエリアです。一方、山側の傾斜地や高台の住宅地では、道路付けや擁壁の状態が価格を大きく左右し、解体費も割高になりがちです。十王・川尻方面や北部では、土地単価に対して解体費の比率が高くなるため、更地化が必ずしも得策とは限りません。
相場の当たりをつけるには、国土交通省の「標準地・基準地検索システム」(公示地価・基準地価)と「不動産情報ライブラリ」(実際の成約価格)が参考になります。数字はあくまで目安であり、個別の物件価格は現地確認が必要です。
より詳しい日立市のエリア別情報と当店の対応内容は、日立市の不動産売却・買取・査定|ハウスドゥ 家・不動産買取専門店 県庁水戸のページにまとめています。
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よくある質問(FAQ)
Q. 日立市の空き家解体補助金はいくらもらえますか?
A. 補助対象経費の3分の1で、利活用型は上限50万円、宅地再生創出型は上限30万円です(令和8年度)。交付は補助対象者1人につき1回限りです。
Q. 築年数が新しい空き家でも補助対象になりますか?
A. なりません。昭和56年5月31日以前に建築確認を受けて建築された建物であることが要件です。
Q. 解体工事は市外の業者に頼んでもいいですか?
A. 補助を受けるには、市内に本店または営業所を有する法人・個人事業者が行う解体工事である必要があります。また解体工事費が50万円以上であること、建設業法の許可または解体工事業の登録を受けた業者であることも要件です。
Q. 残置物(家財)の処分費も補助されますか?
A. されません。空き家およびその敷地内の動産の処分費は補助対象経費に含まれないため、自己負担となります。
Q. 特定空家に指定されていますが申請できますか?
A. できません。空家等対策の推進に関する特別措置法に規定する特定空家等でないことが要件です。指定される前にご相談ください。
Q. 解体した後に売れなかったら補助金はどうなりますか?
A. 利活用型は「解体した日から1年以内に跡地の売却等または賃貸契約を締結すること」が交付条件です。この条件を満たせない場合は交付を受けられません。売却の見通しを立ててから解体することをおすすめします。
Q. 相続した空き家で、相続人が複数いる場合はどうすればよいですか?
A. すべての相続人から解体についての同意を得た方が申請できます。同意が取れない場合は申請できないため、まず相続登記と権利関係の整理を進めてください。
Q. 解体しないで売ることもできますか?
A. できます。古家付き土地としての売却や、現況有姿のままの買取という選択肢があります。解体費を自己負担するより手取りが多くなる場合もありますので、両方の数字を比較してご判断ください。
Q. まず何から始めればよいですか?
A. 日立市 住政策推進課への事前相談(本庁舎5階)と、不動産会社への査定依頼を並行して進めるのが効率的です。当店の査定は無料です。
※本記事の補助金情報は、日立市公式ウェブサイト「空き家解体補助金(利活用型)令和8年度版」「空き家解体補助金(宅地再生創出型)令和8年度版」(いずれも令和8年4月14日更新)にもとづき、2026年7月時点で作成しています。予算には限りがあり、制度内容は年度ごとに変更される場合があります。申請前に必ず日立市の一次情報をご確認ください。税制の適用可否は税理士・税務署にご確認ください。



